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図書室は俺以外誰もいない…。
卒業式が終わったすぐあとだ。おそらく校門の方では花束を渡したり、写真を撮ったり、お決まりのイベントで賑わっているに違いない。
慌ただしいのが嫌いな俺は、落ち着いたこの場所で美加ちゃんと会う約束をしているのだ。
…
……
………
遅いな。
仕方がないから叫んでみよう。
「エル オー ヴイ イー I LOVE MIKA !!」
俺は心の限りに叫んだ。ちょっと恥ずかしかった…。
…
……
………
遅いな。
俺は図書室を見回し、〈CAL〉の本を探してみた。
一冊だけ、青い表紙に魔方陣のマークのついた本を見つけた。しかし俺は本を手に取らなかった。それをやってしまうとネバーエンディングストーリーになるかもしれないからだ(!!?)。
…
……
………
遅いな。俺はふと壁に掛けてある大きな古時計を見上げた。俺たちの間では、通称「おじいさんの時計」と呼ばれている。
この時計は、これまでの3年間ずっと俺たちのいいBGMになってくれたっけ…
「これからも、この時計は時を刻み続けていくんだな…」俺は思わず呟いた。
…
……
………
今は10時40分。約束の時間を10分過ぎている。
それにしても美加ちゃん遅いな…
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