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俺は一人、元の図書室に取り残されていた。
…今のは、何だったのだろう…やはり、夢だったのだろうか…?
図書室は何事もなかったかの如く静まりかえっている。「おじいさんの時計」は10時40分を指したままだった。
「そうだ、夢だったんだ!まだ美加ちゃんは来ていない。きっと待ち疲れて夢をみたんだな」
そう言って、胸を撫でおろそうとした俺の手に、何かが触れた。きれいなピンクの花びらが数枚床に落ちた。
…美加ちゃんがつけてくれたカーネーションだ。
…信じたくはない現実が、目の前に突き付けられた。
『時の女神アイオーン』が美加ちゃんを連れ去ったのは夢ではなかった…!
「…がははははははっ!」
俺は、あまりのことに笑うしかなかった。誰もいない図書室に俺の笑い声が響いた。…非常にむなしかった…。
…
……
………
「シクシク、おーいおい、えーん」
今度は、あまりのことに泣いてしまった。だってそうだろ?最愛の人が姿を消したんだぜ?
「えーん、美加ちゃ~ん、どこ行っちゃったんだよ~」
誰が何と言おうと、俺は悲しかった。
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