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ぽっかりと、口を開けた大きな穴。
こんな所に、いつの間にこんな穴が開いていたのだろうか。
「さぁ!!行きましょう!!」
「行く?」
「はい!!」
ウサギは相変わらずに嬉しそうだ。
しかし、ラスは穴を見たまま固まった。
穴の底は見えない。
それだけ、深い事を物語っている。
「---ウサギよ。」
「はい!!」
「ひとりで行け。」
「ええっ!?駄目です!!貴女も行くんですよ!!」
ラスは冷ややかに足元のウサギを見た。
確かに、このウサギは可愛い。
だからと言って、自分はウサギと心中する気はまるでない。
くるりと穴に背を向けると、肩を強く掴まれた。
振り返ると、そこにはあの愛らしいウサギの姿はなかった。
居たのはウサギと同じ色の髪と瞳の青年。
目立つ服装からでかい時計まで同じだ。
「さぁ、行きましょう!!」
「!?」
強く引き寄せられ、ラスはバランスを崩した。
そのまま、ラスはウサギと同じ服装の青年と穴に落ちて行った。
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