逝く道と二人の影

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ずっと黙ったままの俺が気になるのか、淋子は先導しつつ、後ろをちらちらと振り返る。 「あのぅ……難しい顔してどうしたですか?」 「あんたのボスの幽妃とやらを罵るために俺のボキャブラリーから考えつく最低の悪態を検索中」 「ふえぇ!?そんなことしちゃだめですよぅ……。幽妃さん、悪口言ったらすごく怒るんですからぁ」 「知るかそんなもん」 なんせ俺はそいつのわがままで、いきなり人生を終わらせられた人間(幽霊?)だからな。それくらいやってもバチが当たるわけがない。 「うぅ……」 困り果てたような淋子は、なんと言っていいのか迷っている様子を見せ、結局また前を向いた。
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