逝く道と二人の影

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「わたしもこのお仕事のことを言われた時には不思議に思ったんです。自分よりお仕事のほうを優先する幽妃さんが、どうして一目惚れなんかで人一人を連れてこさせるのかなって」 「これでなんの裏も無くて、マジで一目惚れだけだったら、俺もう泣いて良いか?」 「良いと思うです……」 とはいえ、さっきから、もうそれだけの予感しかしてないんだが。 「というか、そいつは俺のことをどうやって知ったんだ?たぶん俺はそいつと会ったことなんかないぞ?」 「えと……それはたぶん鏡を使ったんだと思うです」 「鏡?」 「はい。『閻魔の鏡』っていう、あの世の閻魔が持ってる鏡のことです」 『閻魔の鏡』。まんまなネーミングだな。考えたヤツは相当頭が固かったのだろう。 「ちなみに読み方は『デビルズミラー』だそうです」 ついでに厨二病だったか。だが『閻魔』を『デビル(悪魔)』とするのもいかがなものか。
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