逝く道と二人の影

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だが『閻魔の鏡』なんて物は、生まれてこのかた聞いたことがない。 「その『閻魔の鏡』を使って何ができるんだ?覗き?視姦?ストーキング?」 「あぅぅ……それ、絶対に幽妃さんの前で言わないでくださいですよ?死ぬほど怖い目に合わされますですから」 「もう俺死んでんだが」 犯人は目の前にいるこの少女。 「こ、言葉のあやってやつですよっ!!」 うろたえる犯人。腕を振るはずみに、鎌が俺を再び切り裂こうとする。もう一回斬られたらどうなるんだろうか。 「分かった分かった。それで?」 「『閻魔の鏡』はこの世の全ての人間を見ることができる閻魔の道具の一つなんです。幽妃さんの持ってる鏡は、タイムラグ0.1秒未満、映像は超高画質で男の人の剃り残しのヒゲまで見えちゃうほどです。また、画面は最大4分割できて、4人の映像を同時に見ることができます。もちろん、防水、対衝撃性能もばっちり。現在あの世で発表されている中で最も最新のモデルです」 後半部分の説明は明らかに携帯の最新機種の宣伝と同じだ。あの世も意外と『いまどき』なんだな。
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