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「いやね? 幽妃はシオをそりゃもう溺愛してるわけ。それこそ、血の繋がった娘とか妹みたいに。今幽妃がいないのも、たぶんシオのおやつを買いに行ったんじゃないかな。そうだろ? シオ」
「ん。かいてんやき」
司の問いに、シオがこくりと頷く。シオは回転焼きが好きなのか。
「それで、シオに手を出すと何が危ないんだ?」
「ちょっと前に、幽妃とシオが街に出掛けたら、シオが若い男にナンパされてね。そしたら、幽妃が凄い勢いでぶちギレて、その男に説教を始めたわけ。噂によると、その男は途中から泡吹いて倒れてたらしいよ。結局、シオが幽妃に回転焼きをねだるまで終わらなかったみたい」
「へ、へぇ……そうなのか……」
シオに手を出す気など毛頭も無かったが、今の話はきちんと心に留めておこう。そういや淋子も、幽妃が怒ると怖いとかいってたな。
その時、シオの耳がピクッと動いた。
「ユウ、かえってきた」
「え?」
「シオは感覚が敏感なのです。特に幽妃さんのことは、かなり遠くからでも感じ取れるみたいなのですよ?」
シオが幽妃の気配を感じ取ったということは、幽妃が部屋に戻ってきているということか。何故か緊張してきた。
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