両刀使いの死神と恋は盲目な閻魔

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数秒も経たず、幽妃は目的の書類を見つけたようで、何事も無かったかのように、それをまた俺の前に提示した。 「さ、さっきのは忘れて?」 「それは良いけど、なんであんなにきちんと書き込まれて……」 「忘れて?」 「は、はい……」 口調は決して強いわけではないのに、何故か怖い。アニメとかで、笑顔のキャラの後ろで黒い炎が立ち上ってるシーンがあるけど、まさにそんな感じ。俺は逆らわない方が賢明だと考え、素直に返事した。 「淋子から死神のことについて聞いた?」 「少しは。閻魔の補佐だとか、冥界の警備だとかが仕事って」 「じゃあ、死神のなり方は聞いてないのね?」 「なり方?」 「そう。天界の神とか天使とかと違って、閻魔や死神は自然に沸いて来るわけじゃないの」 俺は目の前の書類に目を落とした。
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