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「なあ、名前を書く欄が二つあるんだけど?」
「あ、その説明を忘れてた」
幽妃はメモ用紙を一枚取り、自分の名前を書いた。
「閻魔と死神には決まりがあって、なる時に自分の名前の漢字を一文字、同じ音の字に変えるの。私の場合、元々『憂』だったのが『幽』に変わってるわ」
『幽』の字に丸を付け、そのそばに『憂』と書き足す。
「ということは、淋子や穂積も?」
「そう。その辺は自分で聞いてみて。他人が教えるのは、あまり好ましくないから」
「いつか、な。それじゃあ、俺はどうするかな……」
本名の欄に『神島純』と書き、ペンの尻で頭をコツコツと叩きながら考える。漢字を勉強しておけば良かったと、今更後悔。
「これ、使ってみて」
幽妃が取り出したのは、普通の漢字辞書。俺はそれを受け取り、パラパラとめくると、『じゅん』の読みのところを開いた。
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