魂達の街と死神達の家

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『一穂』は本当にすぐそこだった。赤い暖簾に『一穂』と達筆な字で書かれている。黒い型の付いたプレートが並び、そこには作りかけの回転焼きがいくつものっていた。俺達が行くと、頭に捩り鉢巻きを巻いた、威勢の良いおっさんが出迎えてくれた。 「らっしゃい!! おぉ、シオちゃんに幽妃ちゃんじゃないか!! それに今日は見慣れん兄ちゃんもいるな!!」 「こんにちは、おじさん」 「あ、どうも。神島閏って言います。こっちに来たばっかりです」 「新入りか!! 幽妃ちゃんと一緒にいるところを見ると、死神見習いだな!?」 「ええ、まあそんなとこです」 「とりあえずよろしくな!! 俺のことはおっさんとか呼んで良いぞ!! 後、敬語はナシだ!! 硬っ苦しいのは苦手だからな!!」 「よ、よろしく」 無駄にテンションの高いおっさんだ。だけど、悪い人ではなさそうだ。
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