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俺はすぐに二つ食べ終えてしまった。そして、後悔した。何故もっと買わなかったのか。だが、一穂からはだいぶ離れてしまった。しょうがない。また今度の機会か。
「幽妃の家ってどこなんだ?」
「もうすぐ着くわ。というか、もう見えてはいるんだけどね」
「というと?」
「ほら。あれよ」
幽妃がそう言って指差したのは、ビルを挟んで向かいに建つ、高層マンション。その高さと外見からして、かなりの高級マンションのようだ。
「あれか? あのマンションか?」
「そう。あのマンションよ」
「一つ聞くが、指差してるのが最上階付近なのは、分かりやすいからであって、別にそこら辺に住んでるって意味じゃないよな?」
「ううん。何故か最上階。私も譲ってもらったのよ、ある人から」
「は、はぁ。えらく太っ腹なヤツもいたもんだな。あの辺ってかなり高いんだろ? もちろん値段的な意味で」
「変わった人だったわ。値段も、後で調べてみたら、調べなかった方が良かったと思ったわ」
そうこう話しているうちに、マンションの正面入口に着いた。豪奢な飾り付けが至る所に施してある。見上げると首が痛くなるな、この高さ。
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