夜の部屋と鎌の少女

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その時だった。淋子が鎌を携え、ゆらりと立ち上がった。最初に感じた殺気を見に纏い。俺の体は動くのを止めた。いや、動かしたくても動けない。 「大丈夫ですよ。痛くありませんから」 俺は淋子に背を向けたまま、その言葉を聞いた。なんか注射を打たれる前の看護師さんの言葉に似ていると思ってしまったのは、頭が抵抗するのを止めてしまったからだろうか。淋子が大きく鎌を振りかぶる気配。そして 「ん?」 振り下ろされた鎌は俺の体をすり抜けた。途端に体が重力から解放され、ふわふわと浮いてるような感じになった。 「痛く……ない?」 「わたしは言ったですよ?痛くありませんからって。この鎌は体と魂の繋がりを切るための物なので、肉体にはダメージはないんですよ」 「てことは?」 「はい。おめでとうございますです。無事に死にましたですよ」 というわけで、俺の短い16年とちょっとの人生は幕を閉じ、気の遠くなるような長い死人生活が幕を開けたのだった。 父さん母さんすみません。俺は先に逝きます。
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