23時間目

10/27
6783人が本棚に入れています
本棚に追加
/481ページ
テルは膝の上に手を当てて呼吸を整えようとする。顔はしっかり前を見据えたままだ。 が、なかなか呼吸は整わない。口で呼吸を繰り返す状況が続いた。 そんなテルを見た勇太は思った。 テルのやつ…スタミナ切れか…仕方ない… 勇太はゆっくりとテルの元へ向かった。 「テル…」 勇太が静かに口を開いた。 「勇太…どうした?」 テルがかすれた声で言うと、勇太は尋ねてきた。 「苦しいのか?」 少し間をおいてテルは 「ああ。ぶっちゃけな」 と正直に答えた。こういう時は嘘はいけない。カッコ悪く思われようが正直に話した方がいいとテルは判断した。 「テル…無理はするな」 勇太はそう言ってテルの後ろに回った。背中合わせになる二人。 やはりテルはスタミナが切れている…お前がアウトになりそうな時は手を差し延べてやる…一回だけな… 勇太はあの約束を忘れてはいなかった。
/481ページ

最初のコメントを投稿しよう!