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テルは膝の上に手を当てて呼吸を整えようとする。顔はしっかり前を見据えたままだ。
が、なかなか呼吸は整わない。口で呼吸を繰り返す状況が続いた。
そんなテルを見た勇太は思った。
テルのやつ…スタミナ切れか…仕方ない…
勇太はゆっくりとテルの元へ向かった。
「テル…」
勇太が静かに口を開いた。
「勇太…どうした?」
テルがかすれた声で言うと、勇太は尋ねてきた。
「苦しいのか?」
少し間をおいてテルは
「ああ。ぶっちゃけな」
と正直に答えた。こういう時は嘘はいけない。カッコ悪く思われようが正直に話した方がいいとテルは判断した。
「テル…無理はするな」
勇太はそう言ってテルの後ろに回った。背中合わせになる二人。
やはりテルはスタミナが切れている…お前がアウトになりそうな時は手を差し延べてやる…一回だけな…
勇太はあの約束を忘れてはいなかった。
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