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はじめてあった時、綺麗だけどきつい子だと思った。
そんな自分がうそのように、今ではこんなに愛している。
間違ってもそんなことは、本人を前に言えないけれど・・・。 「京ちゃん、今日は金曜日だよね」
わずかに頬を赤く染めて、上目遣いに訪ねる言葉の裏側を知っている。
「泊まりに来るだろ?」
「うん」
大輪の花がほころぶように、笑う。
その笑顔のためなら、何だってしたくなる。
「何が、食べたい?」
「京ちゃんが作ってくれるものなら、何だっていいよ」
「それじゃあ張り合いがねえな。ほんとになんかないの?」
「ん~とね。すきやき」
「OK。じゃ、帰りに買い物していこうな」
「うん」
超おぼっちゃま学校の生徒らしく、どこかおっとりとした口調もかわいい。
「おい、そこの馬鹿ップル。げろ甘モードは帰ってからしやがれ。職場ででれでれしてるんじゃねぇよ。ツーか、仕事しろ」
「僕も京一郎も今日の仕事は終わりましたけど? 段取りよく仕事も終わらせられない無能者と一緒にしないでくれませんか」
「かわいくねえな、お前はよ。がきはがきらしく、ちったあ可愛げのある言動をしたらどうだよ」
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