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「松沢さんにかわいいといわれても嬉しくないですからむしろきしょいですし・・・。今のままで十分でしょう」
そのかわいさは、京一郎限定のようだが。
当の京一郎といえば、そんなところもかわいくてしょうがないのだから、馬鹿ップルに違いはあるまい。
「お前ね。・・・」
花のかんばせ、性別年齢問わずに誰もが振り返るグローバルな美少年に、珍しく口で勝てる策を思いついたらしいが、松沢がにやりと口の端をあげて笑った。
「お前は、京一郎にだけかわいいと思われればいいんだろう?」
「・・・そうですよ?」
「うっ」
「それがなにか?」
けろり。
あっさりと言い放つ美少年に、もはや何一つ言い返す言葉を持たない松沢である。
「楓くん。大人をいじめるのはその辺でね。お京ちゃんが熱発しないうちにやめてあげなさい」
「藤堂さん・・・!」
親子ほども年上の編集長の言葉に振り返った楓は、真っ赤になったまま固まる京一郎に気がついた。
「き・・・京ちゃんっ」
「あはははっ。京一郎は晩生(おくて)だからなぁ」
「ごめん、ごめんね」
「いや・・・だいじょうぶ。だし?」
「なんじゃ、それ。何でそこで疑問形なんだよ」
「松沢・・・」
「きぃぃぃっ」むんず。
楓の両手が松沢の襟首を掴み・・・
そして・・・。
投げた。
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