開戦の犠牲

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AEU連合との国境、旧ソ連の森林地帯。 凍て付く様な寒さと暗闇の中、日本軍の野営地にあるキャンプ。 その中のテントの一つで五十嵐灯駆はサバイバルナイフを研いでいた。 「どうした、眠れないのか?」 と話しかけて来たのは同じ部隊に所属する十道揚羽。 「あぁ、明日国に帰れると思うとどうもな」 「ククッ、遠足前の小学生かよ」 真剣な表情で話す陽駆に対してそんな冗談を飛ばす揚羽。 「な、んな事言ってオメーも起きてんじゃねーか!」 「わりぃわりぃ、でもさ…長かったよな」 急に真剣な顔になったかと思うとしみじみと揚羽は話しだした。 「だな、それも今日で終わり 明日には3ヶ月ぶりの本土だ」 たった3ヶ月だが陽駆達にとっては長かった。 考えてみて欲しい、もし合宿や修学旅行を3ヶ月してみた場合を。 2、3日なら楽しいだろうが流石に3ヶ月もすれば飽きるだろう。 ましてや軍の訓練となるとその辛さは段違いだ。
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