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「…ったく、まさかこんなめんどっちい事になるなんてな…」
アレックスがハンドルを小刻みに動かしながらそう吐き捨てた…
…相変わらず奴らを跳ね飛ばしてる…
「…あいつ…ゾンビを利用して攻撃してくるとは……」
俺が座っている座席の一つ前の右端にいる男が外を見ながら独り言の様にそう言った。
…さっき、俺らに死体の説明をしていた男だ…
「…利用って…一体どうゆう事?」
「奴は周りにいるゾンビ共に指示をして俺達を囲む様に仕掛けたんだ…」
「ーー!?…そ、そんな馬鹿な…あいつらにそんな頭は…」
「じゃ、君は説明出来るのか?いつの間にか後ろに置かれてた車に死体が現れ、俺達がそっちに気を引いてる間にゾンビ共が出てくるなんて…出来過ぎだと思わないか?」
男はこちらに振り向きながら、驚きを隠せないでいるエルザにそう尋ねた…
エルザはそれを聞いて、口に指を当てながら考えこんでしまった…
「……なぁ、その[奴]について詳しく教えてくれないか?」
助手席に座っているジャックが男に向かって聞いた。
「…一応、奴はゾンビなのだろうが…はっきり言って化け物に近いな…
見た目を見る限りは他の奴らと大差は無い様に感じるが…両手に鋭い爪が生えてるんだ…
調度……あんたのその腕みたいに」
男は俺の左腕を指差しながらそう言った。
他の皆がこちらに視線を向ける…
「…更に奴は動きが半端なく素早い…ゾンビの動きとは比べ物じゃない…しかも、さっきの出来事を見たから解ると思うが思考能力がある…」
続けて男はそう説明し終わると、片手で目頭をおさえながら溜め息を吐いた…
「…やっと奴に一矢報いる事が出来ると思ったが…俺達の思い上がりだったみたいだな…」
「まさか先にゾンビ共にやられるなんて…」
男の隣にいるもう一人が被っている帽子を下にずらしながらそう続けた…
「……何とか脱出出来たみたいだ…」
アレックスは口に新しい煙草をくわえながら皆にそう伝えた。
…車は既に森から出ており、最初に集まった入口付近を走っている。
周りにはもうゾンビ共はいない様だ…
「…とにかく、考えるのは戻ってから…」
ダンッ!
「ーーっ!!な、何だ!?」
突然、上のボンネットから何かが落ちてくる音が響いた…
「………」
皆一斉に黙り、銃口を上に向け始めた…
…次の瞬間!
ズドッ!!
天井から黒光りした鋭利な何かが音を立てて突き破った…
…しかも、俺の真上に…
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