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数秒後、奴は呻き声を上げながら崩れるように地面に倒れた。 「…殺ったのか?」 まだ奴に銃を向けたままジャックがそう呟いた。 スティーブが近づいて銃の先で突いてみる… …奴は顔を空に向けたまま白目を剥いて動く気配を見せない… 「……あぁ。確かに死んでる…」 「…本当か!」 「イヤッホォォウ!!」 アレックスが銃を持っている右手を上に掲げると大きくそう叫んだ。 …先程までいたゾンビ達はアレックスが片ずけて今はもういない… 全てが終わった事を知ると、俺とエルザはへたり込む様にその場に座り込んでしまった… 「…やった…」 「えぇ…かなり厳しかったけどね…」 「まさか倒せるとはな…」 「みんなが協力したからよ…」 カレンがこちらに近いて来た… 「エルザ、それと…カルロス…だったな。 君達には本当に感謝をしてもし尽くせないな… …さっきは色々と済まなかった…」 「え?…へ、平気よ!別にもう気にしてないから!」 エルザは恥ずかしそうに慌ててそう否定した。 「そ、それに貴女じゃなくて彼が言った事だし謝る必要は無いわよ」 「…済まない… 彼、別にわざとあんな事言うつもりは無かったんだ…ただ、仲間を失ってしまって…」 「…だからもぅいいわよ」 少し微笑みながら鼻で溜め息をつくとカレンに向かって再度そう言った。 「…ありがとう…」 彼女もエルザの言葉を聞くと同じ様に笑ってそう答えた… 「このっ!…散々俺達を苦しめやがって!…」 スティーブは既に死体となった奴の頭を思いきし靴で蹴飛ばしながらそう悪態をついた… ゴツッと嫌な音が鳴る… 「貴様のせいで俺達の仲間は……畜生…ちくしょおおおお!!!」 「…スティーブ!止せ! …もう終わったんだ…」 「カレン…」 感情的になって奴の体を蹴り続けていた彼をカレンは肩に手を掛けてそう止めた… 「……もう復讐は終わったんだ…あいつらの分のツケは返しただろ… だから…もうよすんだ…」 「………あぁ、そうだな…」 彼女の話を聞くと、少しの時間を空けてスティーブは大きく溜め息をついてそう呟いた… …この姿を見ると、俺は先程の車内での事を責める気にはなれなかった… …彼には彼の苦しみを抱えていたのだから責める事は出来ない… そう思った… 「…さ、街へ戻ろう」 「…あぁ…」 彼はカレンの言葉にそう答えると前に歩きだした… …その時… …ドッ!! 後方で何かを突く様な音が響いた…
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