返報

13/17
1595人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
エルザはすぐに奴に対して応戦をしようとした。 だが、先程から背中と脇腹に軋む様な痛みが走る為に上手く奴に狙いをつける事が出来ない… 「…こ…こんな痛み…」 「エルザ!?…くそっ!こんな時にジャム(弾詰まり)か!」 ジャックは彼女を守ろうとトリガーを引くが弾が出て来ない… 恐らく先程奴に吹き飛ばされた時の拍子のせいだろう。 そうこうしてる内に奴はすぐの所まで来てしまっている… 彼女は思わず顔を背けて瞳をつぶった。 …ガキンッ!! 甲高い金属音が鳴り響く… 「……え?」 「…な、何してんだ!…早く離れろ!…」 「ーーか、カルロス!?」 彼女の前にいたのはカルロス…つまり俺だった。 俺は何とかギリギリの所で奴の攻撃から二人を防ぐ事が出来た… だが奴の力は俺のそれとは比にならず、足が地を擦りながら少しずつ後ろへ下がって来ている… 俺は再度二人に叫んだ。 「急げ!ジャック、彼女を連れて早く…うぁっ!」 俺がそう言い終わる前に奴は片方の腕で俺の腹を突き刺した。 腹に言いようの無い痛みが生じる… 「カルロス!!」 「…し、心配するな。俺は大丈夫だって分かってるだろ…」 俺は空いてる右手で銃を取り出し、奴の左眼の前に銃口を突き付けて引き金を引いた… 近距離で発砲した為、弾は奴の左眼から後頭部を突き抜け、大きな血しぶきを上げた。 それと同時に奴はギャッと悲鳴をあげて俺を攻撃していた手を顔に当てて後ろにのけ反る… 「アレックス、カレン!今だ!」 「よっしゃ任せとけ!」 続いて奴が俺らから距離をあけたのを確認して俺は急いで側にいる二人にそう合図をした。 直感的に俺が何を言ようとしたのか理解をすると、奴に近付いて構えていた銃をぶっ放した… アレックスは連射型の散弾銃の為、至近距離で撃った方が一番威力があるのだ。 この攻撃には奴もひとたまりもなく、連続で放たれた鉄の球は奴の片腕や下半身を吹き飛ばし一瞬の内に奴を地面へ倒させた。 …だがさすが怪物と言った所か、それでも奴の身体は少しずつだが修復をし始めている… 「このヤロ…まだ足りねぇってのか?」 「…待てアレックス!」 アレックスが引き続き引き金を引こうとしたがジャックがふらついた足でそれを止めた。 「…どうした?早く殺らねぇと…」 「こいつにこれ以上攻撃をしても意味が無いだろ…これを使え」 「…お、おい…これ…」 ジャックは腰からある物を取り出して彼に手渡した…
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!