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…数日後、俺らはいつもの場所で酒を飲んでいた…
側にはカレンも一緒にいる。
「…で、これからどうするつもりなの?」
エルザが真面目な顔で彼女にそう聞く。
…珍しくまだ酒には一切手をつけていない…
「……仲間はもう誰もいないが…私はまだこの仕事を続けて行くつもりだ…。
それが彼への弔いになる筈だし……」
「…そぅ」
…あの後、彼女と一緒に俺達は彼の死体を持ち帰り、ここから少し離れた所にある小高い丘の上に木で出来た小さな十字架を建てて埋葬した…
その間、彼女は一度も泣かず、黙々と仕事をこなした…
…本当に強い人だ…
並の人ならそこで再度泣くものだが…彼女はそうしなかった。
仲間を失ったのはこれが最初ではないからなのか…それとも……
「…な、なぁ。 もしよかったら…その…俺らと一緒にやらねぇか?」
アレックスが少し吃りながら彼女にそう提案した。
こいつは最初から彼女と仲良くなりたいからそう言ってるのかもしれないが、その事については俺も賛成だ。
「確かにこのまま一人でこなすのはキツイわな…」
「だろ? 俺もそう思ってたんだよ」
「嘘つけ!」
「…とにかく、アレックスの言う通りね。 見知らぬ人とやるよりあたし達とやった方が安全よ。
…一人、話は別だけど」
「どうゆう意味だコラ…」
「何度も言うけどそのままよ」
黙ってアレックスが立ち上がるとエルザも同じ様に立ち上がった。
…空気を察するに…これって……
「「…このヤロ…!」」
「私も同じ事を考えていた所だ…」
二人の拳が互いの顔に当たる前にカレンが話し出したので、ぎりぎりの所で止まった。
そのままの体制で彼女の方を見る…
「…そんじゃ……」
「あぁ。 迷惑だと思うかもしれないが…」
「と、とんでもない! …よろしくな、お嬢さん」
「何カッコつけてんのよ…馬鹿みたい…」
エルザの言葉を無視してアレックスは彼女と無理矢理握手をして自分なりにキメてるつもりなのか、いつもと違うトーンでそう話した。
カレンは少し引き攣った表情で愛想笑いをした…
…おい。 完全に引いてんぞ…
その後数分間、エルザがあいつを殴って止めさせるまでそんな会話が続いたのだった…
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