2064年 9月22日   記録者 黄桜乱命じゃ

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 美しいもんやないの。いや、あちきは感心した。血が繋がっていても絆がほどけて消えていくこの寂しいご時世に、口先だけやのうてほんまに心を通じあわせるんがどんだけ素晴らしいことか。黄桜も爪の垢ぁ煎じて飲まなあかんなぁ 褒めてやりたい気分やから、ちょっとした座興をしたろか。  SYGNUSSちゃんがせっせと書いとったこの日記を、正夢カジノ―否、今はもう『鬼ヶ島』やな、そのリラックスフロア……とちゃうわ、『十二星座管理地区』に送りつけたろ。あちきの話や周囲の気配からSYGNUSSちゃんが調べた『鬼ヶ島』の真実や、この島の勢力図などが細かく書き記された、この狂乱家族日記の断片を。  誰の手に渡り、どんなふうに利用され―どこへ行きつくのか。  楽しみじゃのう。ぎゃははは。  所詮、この世は夢まぼろし。  なればこそ、夢の胡蝶は美しくどこまでも飛んでゆけ。 ―大日本帝国超常現象対策局公認特殊作戦遂行家族 乱崎家の日記より抜粋―
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