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乱命さんは死んでいませんでした。
傍らを見ると乱命さんを押し潰したはずの大岩がありました。
下半身すら見えました。
恐る恐る自分自身を見ると足はきちんと生えて傷さえありませんでした。
怖くなりその場から駆け去りました。まるで自分が得体のしれない何かになったようです。感覚が鋭敏になり、遠くまで見え、皮膚はどんな些細な情報も拾って脳まで届けてくれました。
貧弱な人間には有り得ない脚力。
そして地底湖に着きました。
綺麗な水面を、覗き込みました。
額にはそれまで存在しなかったはずの―雄牛のような角がありました。
『楽園』で魔族に取り憑かれてしまったのです。
魔族に取り憑かれれば不死になりました。
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