31人が本棚に入れています
本棚に追加
「抹茶メロンパンと抹茶の蒸しパン……あ、抹茶みるくまである!」
「え!?嫌いだった!?」
「まさか!大好きです!」
「よかった」
私が喜んで大好物の抹茶を受け取ると、不良は嬉しそうに笑った。
私はその笑顔を見て何ともいえない様な、モヤモヤとした感覚が胸に広がるのを感じた。
さっきも教室で感じたけど、どうもこの人の笑顔を見ると調子が崩れるみたいだ。
おかげで手を振りほどくのも忘れてここまで付いて来てしまった。
もしかしたら見た目に反した優しげな表情で笑うのに、ビックリしただけなのかもしれない。
教室から拉致された私は、屋上で不良と一緒に昼食を食べていた。
何故かというと光ちゃんにお弁当を盗られた私を不良が憐れに思って、途中売店に寄ってくれたからだ。
売店はお昼休みになると、各学年の生徒達でいつも込み合っている。
だけど今日はいつもと違った。
不良が売店に現れた途端、みんな道を開けたからだ。
なかには一番人気の焼きそばパンを献上している人までいた。
(うーん、ホント何者!?って感じなんだけど……。まさか番長、とか?)
「おい」
(まさか今時番長なんているわけないか。ていうか、何で私この人と一緒にお昼食べてるんだろう。しかも奢ってもらっちゃったし。……あ、この蒸しパンモチモチしてて美味しい)
最初のコメントを投稿しよう!