31人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「おい、そこのお前」
「はい?」
振り返ってすぐに後悔した。
目の前には金髪頭の“男”が立っていた。
両耳にピアス、学ランの下の派手な真っ赤なTシャツ、腰パン。
360度どこからどう見ても不良な人に、私は声をかけられてしまった。
不良は私の頭から爪先までをジロジロと鋭い目付で眺め回していた。
場所は校門前だし、どう見てもうちの制服--かなり着崩されているけど--を着ているから同じ学校の生徒なのは間違いないけど……。
入学してまだ一週間しか経っていないけど、私と同じ新入生にこんな目立つ頭の人はいなかったし、上級生に目をつけられるような事なんて何もしていないはずだ。
私は門に入っていく他の生徒を見てみたが、みんな見て見ぬふりをして通り過ぎて行く。
門の前で服装チェックをしている風紀委員もチラチラとこっちを見るだけで、助けてくれそうにない。
(うう、みんな冷たい…。そりゃ誰だってこんな怖い顔の不良とは関わりたくないだろうけどさぁっ)
「あの…何ですか?」
「…!」
最初のコメントを投稿しよう!