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「同じ被害者として同情するとも言ってな」
「そっかぁ。真鍋君あそこにいたんだ。私あんな事したのに心配してくれるなんて。……優しいね」
私は入学式の日を思い出して顔をしかめた。
式が終わって教室に戻るときに転びそうになった私を、真鍋聡(マナベ サトル)君は後ろから抱き留めて助けてくれた。
けど私は“男”が苦手でだ。
いきなり“男”に触られてパニックになり、今朝の不良の様に真鍋君を投げ飛ばしてしまったのだ。
一本背負いで。
真鍋君は気にするなって言ってくれたけど、他の新入生や保護者の目の前で女の子に投げ飛ばさられるなんて、恥をかかしちゃったなあ……。
私が落ち込んでいると、光ちゃんは明るく励ましてくれた。
「まあ、あれはしょうがないよいきなりだったし。美咲は男が苦手なんだし」
「あのパンチ力は苦手の域を越えてるだろう」
「!?」
急に後ろから誰かが話に割って入ってきた。
私達は驚いて振り返ると、そこには今朝の不良が立っていた。
「ぎゃあ!殴ったりしてすいませんでしたー!!」
「こいつが今朝の不良ですか!?」
私が飛び上がって不良から離れると、楓ちゃんは私を背中に庇う様にして不良の前に立ち塞がった。
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