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「あなたですか。私の美咲ちゃんを汚い手で触ったあげく、公衆の面前でプロポーズをして殴り飛ばされて振られた不良というのは」
「“私の”?男が苦手って事はお前……レズ、なのか?」
「なっ!?違います!」
不良は楓ちゃんの言葉に驚いたのか目を丸くして、楓ちゃんの後ろに隠れる私を覗き込む様にして真剣な顔で聞いてきた。
冗談じゃない。
いくら男が苦手だからって、そっちの趣味があると思われるなんて心外だ。
というかお昼の教室で何て事を聞いてくるの!
(うう…クラスメートの視線が痛すぎる)
さっきまでご飯を食べたりおしゃべりをしたりで騒がしかった教室は、今ではシーンと静まり返ってしまっている。
聞こえるのはこの状況で唯一お弁当を食べ続ける、光ちゃんの箸の音ぐらいだ。
「そうか。ならいい」
不良はそれだけを言うと、小さく微笑んだ。
「ちょっとあなた。振られたのですから早く自分の教室にお戻りになったらどうですか?振られた分際でよく会いに来られましたわね。早く目の前から消えてください。でないと今度は私があなたの頬を殴って、腐ったアンパン野郎にしてさしあげますわ。この下種野郎」
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