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「そいつは困るな。やっとここまで腫れが引いたんだ。これ以上男前が下がるのも、酷い顔でこいつにビビられてまた逃げられるのも困る」
明らかに小馬鹿にされているというのに不良は何でもないといった風に、湿布の上から腫れた頬を摩りながら飄々と答えた。
頬は微妙に腫れていて唇の端が切れてしまっている。
どうやら私は相当本気で殴ってしまったみたいだ。
私はちゃんと謝ろうと思い、不良の前に出た。
「あのっ!今朝は本当にすみま」
「つーことでちょっとこいつ借りてくな」
「ふぇ!?」
謝り切る前に、私は不良に手を掴まれてしまった。
不良はそのまま私を引っ張って教室から出ようとする。
「待ちなさいっ!美咲ちゃんをどこへ連れて行く気ですか!!」
「わっ」
楓ちゃんが私の腕を掴んで止めた。
美人だからか怒った顔に凄みが増して、すごい迫力だ。
(う、ちょっと腕引っ張られて痛いかも)
不良は私を引っ張る腕に抵抗感を感じ、立ち止まって楓ちゃんへと振り向いた。
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