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「俺に消えてほしいんだろ?でも俺はまだこいつに用があるんだよ。だからこいつも一緒に連れてくの」
「だからって美咲ちゃんと二人っきりにさせられるわけ」
「楓、うるさい」
「もが!?」
楓ちゃんがさらに言い募ろうとしたとき、それまで静かにモグモグと……じゃなかった。
黙々とお弁当を食べていた光ちゃんが楓ちゃんの口におにぎりを突っ込んだ。
「先輩」
私は光ちゃんが助けてくれると思って、光ちゃんへと手を伸ばした。
「ひか」
「授業に遅れない様に帰してくださいね」
「わかった」
それだけ!?止めてくんないの!?
不良は再び歩き出した。
私は何が何だかわからない状態で不良の手を振り払うことも忘れて、引きずられるまま不良についていった。
私は信じられない気持ちで光ちゃんを見たが、光ちゃんは笑顔で手を振るだけだった。
「お弁当は私が代わりに食べてあげるから、あんたはちゃんと話を聞いてあげるんだよ。また殴ったら駄目だかんね」
「私ほとんど食べてないんだけど!?」
まさかお弁当食べたくて助けてくれないの!?
「もがー!」
「だからうるさいっての。美咲、いってらっしゃ~い」
光ちゃんは暴れる楓ちゃんを羽交い締めにして私を見送っている。
私は呆然としたまま教室を出た。
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