1‐3章──王都ラグネルナ

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「少しは腕に自信があるらしいな」 「少しじゃないわよ。結構よ」  アノンの言葉に強気の返事を返すセレナだが、アノンは先程までの相手とは桁違いの強さを誇るのはセレナにも充分理解出来ているので、無闇に攻めようとはせず、慎重に相手の出方を伺っていた。 「言葉の割には慎重だな」 「別にそうでも無いわよ……」  セレナは口ではそう言っているものの、佐官にもなると戦闘に特化した者も多く、少なくとも総合的な実力はセレナよりも上なのは明白で、普段の倍以上は慎重になっているのも無理はない。 (少佐にもなれば正面から戦っても多分勝ち目は無い……でも、“だからこそ”勝てるチャンスがある!!)  セレナの自信の最大の理由は、その実力差による過信から来る油断にあった。  セレナにはシンである声支配(ボイス・コントロール)があり、これは聴力が正常に機能していれば問答無用で発動が可能であり、その拘束の隙を突ければ勝機は充分にあると踏んでいるのだ。
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