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「なら極端な話をするが、蟻が象を操れると思うか?」
「…………!?」
「2ランクのシンは“自身の力を比例して効力は上下する”。つまり、例えば自分より弱い者ならば効果が高まり、逆に強い者ならば効果は薄くなる」
「つまりアンタはアタシより強いから、シンの効力が薄かった訳ね……」
「そうなるな。ただ、お前と私の力の差は随分と広いらしいがな」
「……くっ」
セレナも抵抗して暴れようとするも、アノンとの力の差は歴然で、体が全く動かせなかった。
「まだこんな未成年の女の子を地面に押し付けるとは良い趣味では無いな君達」
そんな状況の中、この場の雰囲気には不釣り合いな呑気な声が前から聞こえ、アノンはその方向を振り向いた。
セレナは地面に押し付けられているので、その声の主の姿を確認出来ないが、この声には聞き覚えがあった。
「誰だお前は?」
「なぁに、私は単なる通りすがりの女好きの旅人……とでも言っておこうか?」
(間違いない……この声、まさかヴェリウス!?)
この声での喋り方はつい先日までしっかりと聞いていたので、セレナはそう確信した。
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