1‐3章──王都ラグネルナ

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 そう言うと、ヴェリウスはアノンに近付いて来た。  アノンが敵視しているにも関わらず、ヴェリウスが近付いている辺りから、ヴェリウスも戦闘意思があるようである。 「ちょっと!? まさか片腕無しのアンタが戦うつもり!?」 「私は別に戦うつもりは無いが、どうやら向こうは戦う気満々って感じなのでね」  ヴェリウスがどんどん近付く中、アノンとアイコンタクトを取った部下が代わりにヴェリウスの前に立ちはだかった。 「少佐、相手は片腕が無いようですし、ここは私が」 「ほう、まずは君が相手か。所で私は平和主義者でな、出来たら無益な戦いはしたくは無いのだが……」 「断る。それに、“まず”では無い。私で……終わりだ!!」  自信満々に言い切った男は、剣を構えてヴェリウスにダッシュで近付いた。  セレナやアノンのような常人離れした身体能力では無いが、かなり動きは良く、長年の訓練の成果が出ていた。 (その軍人もかなり強いのよ!? アンタ、片腕が無いのに──!!) 「中々良い動きだな」  セレナの心配をよそに、ヴェリウスは余裕を見せながら身構えており、大剣に手すら掛けていない。  男はいきなりヴェリウスの弱点になるであろう、右側に逸れ、そのまま猛突進した。  しかし男がヴェリウスに近付いた瞬間、ヴェリウスは常人離れした反応速度を見せ、刀身を上手く左手でしっかり受け止めた。 「しかし、例え相手が片腕だけでも気を抜くのは減点だな」  そして男はいきなり回転しながら吹き飛ばされ、アノンの真横に倒れた。  男にとってはいきなりだったかも知れないが、アノンとセレナは見た。  ヴェリウスの動きが瞬間的に加速して、瞬速の速さで男の顔面に蹴りを入れていたのを。
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