1‐3章──王都ラグネルナ

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「結構強い……か。言い残す事はそれだけか?」 「なら、可愛い子は優しくて強い男に惚れるのだと言わせて貰おうか?」 「随分と……余裕だな!!」  アノンは構える間も入れず、常人離れした瞬発力で一気にヴェリウスの前に高速移動した。  アノンが自身の前に来ると同時に、ヴェリウスは素早く一歩下がると、ヴェリウスの目の前で、アノンの打ち上げる拳があった。 「良い反射神経だな」 「反射では無いぞ少佐? 今のは“反応”だぞ?」 「今のが見えた位で図に乗るなよ……次は更に速くする!!」  ヴェリウスの言葉の意味を察したアノンは、先程より更にスピードを加速させてヴェリウスの顔面に回し蹴りをした。  ヴェリウスはその回し蹴りを完全に見切ってしゃがんで避け、即座に身を右側に寄せ、アノンの高速の手刀突きを回避した。 「随分と面白い能力だな少佐。“今の突きは”何か仕掛けがあったのだろう?」 (今ので“コレ”に気付くか……!?)  ヴェリウスの能力に驚きつつも、アノンは先程の手刀突きを連続で放った。  ヴェリウスも回避だけに専念して手刀突きをかわしているものの、アノンの手刀突きの速さに徐々に回避するのが難しくなり、どんどん壁際に追い詰められていった。
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