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「少しやり過ぎたな……まあ、あの程度では死なないだろう」
ヴェリウスは大剣を背負い、用済みのようにその場を立ち去ろうとしたが、咄嗟にセレナが声を上げて制止させ、ヴェリウスは立ち止まった。
「何のつもりよ……! アタシを助けたつもり!?」
「別に。ただ私は自分の正しいと思った事をしたまでだ。それに、もうラグネルナは用済みだからな」
「…………」
ヴェリウスが普通に答えた言葉に、セレナは無言でムスッとした表情でヴェリウスを見ていた。
「……納得いかない」
「…………」
「納得いかない! 何でアタシが借りばっかり作らないといけないのよ!!」
「はい? 借りと言っても今のは──」
「うるさい!!」
「逆ギレ!?」
ヴェリウスの言葉を遮るようにセレナの怒声がそれをかき消し、ヴェリウスの意見をお構い無しにセレナは続けた。
「いい、アタシは借りを作りっぱなしなのが嫌いなの。変態に借りを作ったままとか虫酸が走るわ」
「ん~、仕方が無いな……じゃあ私とあ──」
「無論、そっち方面の事は即座に却下」
「まだ“あ”しか言ってませんよねぇ!?」
「なら、“あんな事やこんな事”以外で何を言うつもりだったのよ?」
「…………」
「黙るな!? てか図星か!!」
セレナの予想が的中したらしく、ヴェリウスは汗だくで黙り込んでしまい、セレナのキツいツッコミを受けた。
助けられた側にも関わらず、先程から怒鳴ってばかりのセレナも問題だが、常に危ない事を考えるヴェリウスもかなり問題である。
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