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しかし彼女が怒っているのも無理はないのだ。
彼女を始め、数十にもなる者が一本しかないストークタウンとラグネルナとの交通路をいきなり封鎖されて立ち往生しているのだから。
「これは政府の上層部の命令なのだ! 上層部は近頃増え出したクリーチャーの駆除の為に今、この関所には軍の方々が会議をしておられるのだ! 貴様達の為の行いなのだから数日位我慢しろ!!」
「何よその言い草……ッ! もう我慢ならない!!」
怒りが限界を突破して少女の額に筋が走り、小刀に手を掛けた瞬間、いきなり肩を叩かれたかと思うと、少女の前に長身の銀髪に分厚いロングコートを着た青年が彼女の前に現れた。
「いや~すみません。どうやら私の“嫁”がご迷惑をお掛けしたようで……元から少し短気なので多目に見てやって下さい」
「はぁ!? 嫁って──」
「さあさあ、少し私と林の方で愛を語り合おうか」
青年は明らかに人違いである“嫁”こと、少女を左手で抱えて、その場から離れて行った。
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