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そういう反応が面白いから翼や日比野さんにまでからかわれるということを全く理解していない田中さんは最終的に僕に助けを求めた。
うん、楽しそうだから僕も加わることにしよう。
「田中さん、ずっと顔あかかったね」
その瞬間、田中さんの頭から湯気が出ているような錯覚に陥った。
つまりそれくらい顔が赤くなったってこと。
「な、ななな、何言うのよ?わ、わわわ、私は別に赤くなってなんか…」
面白い。田中さんて、こんなに面白い赤縁眼鏡っ娘だったんだ。
「ぷっ、ふふふ。も、もう駄目。私はこの辺にしとくわね。これ以上からかうと後が恐いし」
お腹を抱えながら、日比野さんは一抜け宣言をした。
田中さんの親友であるからこそ、田中さんの臨界点というものを心得ているらしい。
「んもう、由利のばか」
それだけ言うと、恥ずかしさを誤魔化す為か顔の火照りを冷ます為か、田中さんはアイスコーヒーに口を付けて押し黙った。
「そ、それで、結局ユキ先輩は響くんのことを……っていうか、二人はそんなに良い雰囲気だったの?違うよね?」
梓、可愛いけど今はそんなこと訊くとこじゃないよ。
田中さんをイジるかフォローしてあげるかどっちかにしないと。
「フッ、まぁ俺は面白いから構わないんだが、一つ言わせてもらうと……生徒会が修羅場になると今後の業務に差し支えるぞ?」
「あ、それもそうね。じゃあ気を付けてね、三人共」
なんだかんだで、日比野さんはちゃっかりとどめを刺していった。
そのセリフでコーヒーを噴き出しそうになっている田中さんや、わたわたしてる梓や、微笑ましく笑っている日比野さんや、不敵に笑い続ける翼を見て、僕の中の心配事は姿を消した。
なんだかんだでこの生徒会、上手くいきそうだ。
田中さんはいつの間にかちゃんと馴染んできてるし、一人浮きまくりの隼人も、結構人懐っこいところがあったりもすることに最近気付いた。
何が言いたいかっていうとつまり、僕はこれからもこの生徒会が楽しみだってこと。
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