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それを背中で感じることができて、僕も安心していた。
それにしても、今のは我ながらカッコ良かったな。
どうせやるなら詰めまでしっかりとしないと。
僕は振り返ると、梓ちゃんに向けて優しく微笑んだ。
凄いな僕。身を呈して女の子守っちゃうし、睨んだだけで克己追い払っちゃうし、その後優しく微笑んじゃうし。カッコ良すぎて梓ちゃん惚れちゃうんじゃないかな。
「あ、ありがと。その……メア……じゃなくて、まずは名前、教えてくれんかな?」
あ、あれ?
まさかこれは……本当にイケるのか?
「外山、響」
訊かれたので、とりあえず僕の名前だけ先に呟く。
「響くん……あぁ違っ、二年生やから外山先輩か」
響くん……いいな。
先輩と呼ばれるのも捨てがたいけど。
い、いやそんなことよりも、もっと重要なことがある。話すのは苦手だけど、今こそ口にしなければ。
「君のメア……名前は?」
危ない危ない、順序を間違えたらカッコ良くない。ただのウザイ人だ。
「私の名前は、小西梓。小西幸人の妹って言ったら、ピンとくるかな?」
彼女は少し不思議そうな顔をして名乗ったが、それも納得だ。
そっか、小西幸人の妹か。
そんな子が入学してたなんて僕は知らなかったけど、それなら名前を訊かれることなんて少ないはずだ。
この学園の噂の広がるスピードは半端無い。
あの“伝説の生徒会長”の妹が入学したとなれば、その存在はたちまち全校に知れ渡る。
僕だけは例外だったみたいだけど。
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