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「んーー……明日! 明日、花火大会があるよね」
意外なことに、モモらしからぬ何ともノーマルなデートではないか。
大人のおもちゃの買い出しとか、風俗店探検とかではないのだ。
思えば……中学生から高校一年生の一学期まで、世界征服などというふざけたものを巡っての変態的な争いに明け暮れてまともな青春を寄せ付けなかったモモが、ついに真っ当な人間になりつつあるのだろうか!?
とりあえず、モモにとって良い兆候であることは間違いないだろう。
「あ、勘違いされちゃ困るから言っとくけど、デートっていっても、本物じゃなくて、デートの真似事だからね。いうなれば、練習。あたし、デートしたことないから。だから変な下心とか無いから、無駄な期待はしないでね。あたしが尾奈くんに恋してるとか、くだらない誤解はご法度だよ。男の人だったら誰でもよかったんだけど、あたし断られるの嫌いだから、断られそうにない順番に電話しただけだからねっ!」
最後にちょっと憎まれ口を叩くのはモモの常套なので、もう慣れっこになっている。
だからモモの【俺に対する】本心は読めないが、とにかく二人きりでデートできるのは喜ばしいことだ。
モモがオーソドックスなデートをしてみたくなったのには原因がある。
話はちょっと長くなるが、以下にそれを述べてみる。
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