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「──座って、お茶は紅茶でいいかしら?」
「あ、はい…」
神妙な面持ちの歩美、志保は紅茶を差し出した…
「それで、私に相談したいことって何かしら…」
「あの…志保さんが来たのはちょうど10年前、博士の助手として来ましたよね?」
「そうね、親戚の“灰原哀”って子が阿笠博士の家でお世話になった恩もあるし、住み込みで助手を引き受けたわ…」
志保は自分が灰原哀であったことを歩美には隠していた…
「まるで、哀ちゃんが大人になったみたいで私…」
「よく言われたわね、あなたには…でも、何度も言うようだけど私は灰原哀じゃない、宮野志保…」
「なら、哀ちゃんは…哀ちゃんは今、どこにいるんですか?」
「それを知って、あなたはどうするの?以前みたいに探す?」
「もちろん、逢いたい…哀ちゃんは私の…私の大切な友達だから!志保さん、哀ちゃんの居場所を教えてください!」
「それは無理ね…残念だけど、私は親戚の所在も知らない…その子が今、どこで何をしているかもわからないもの…」
志保の言葉に落胆する歩美…
「そう、ですよね…すいません、無理な相談をして…ありがとう、志保さん…」
「少しゆっくりしていくといいわ…紅茶、入れ直してくるわね…」
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