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周りに散らばる剣士や魔導士の多くの死骸。ほとんどのモノは切り刻まれたり、身体が燃えて炭化したりしてる者もおり、五体満足のモノはほとんどいない。
そんな惨状の中心に1人の男が、両膝をついて目の前の光景を見つめていた。男の格好は周りで死んでいる剣士達の物と酷似していることから、男も剣士なのだろう。
「……なんで…なんだ」
男の前には1人の女性が横たわっている。綺麗な銀髪をしているが、髪は泥や砂で汚れきっていた。そして、腹部には剣によるものだろう、深い刺し傷が残っている
その傷からは液体が流れ出しており、流れ落ちたそれは地面を真っ赤に染め上げていた。
「く…そっ…………くそぉぉお!!」
男は拳で地面を殴りつけ凹ませる。
ポツッ…ポツッと曇っていた空から雨が降り出す。それは男が着ていた鎧に当たりカンッ…カンッと高い音を鳴り響かせる。
そして、雨はすぐに豪雨へと変わり、その惨状を洗い流していく。
…その雨は、まるで天が泣いているかのような悲しそうな様相をかもし出していた…
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