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祐ちゃんは基本的に速めに帰宅する。
残業があっても8時までには電車に乗る。
それは、祐ちゃんが社長の息子で、時期社長と謳われているからと言うのもあるだろうが、一番は、祐ちゃんがめちゃくちゃ仕事出来るからだ。
あの外見に反して、相当のやり手。
そのギャップがまた、たまんない…っ
「……っと、ヤバいそろそろ祐ちゃんの電車に遅れる」
机に広げていた勉強道具をスクールバッバックに投げ込み、駅へと急ぐ。
ミキはそんな私を意味分かんない、と笑うけど、これが私の使命であり、生きがいなんだからしょうがない。
どうやったって、止めるわけにはいかないのよ。
「あ、祐ちゃんお帰り」
「ただいま絢ちゃん」
いつも祐ちゃんが入ってくる扉の近くに座り、待ち伏せていれば、2つ先の駅で祐ちゃんが入ってくる。
今日も無事だったか、と、スーツの乱れが無いか確認しながら、今日あったことを話す。
それをうんうん、と楽しそうに聞いてくれる祐ちゃんに、いつも私は嫌なことをキレイサッパリ無くしてしまえるのだ。
あの都合の良いギャル達のことも、嫌みったらしい先生のことも。
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