15人が本棚に入れています
本棚に追加
この話は、とてもとても暑い、夏の日の話。
「やべっ、もうこんな時間!
また遅刻だ!」
新人のくせに毎日遅刻ばかりのダメ社員。
それが俺。
とくにやりたい事が無く、親のすすめで、なんとなく入ったビル管理の会社。
「お前、また遅刻か!」
この言葉、もう何度聞いたことか。
まぁ、遅刻したのだから当たり前なのだが、こいつの説教を聞くのは、もう飽き飽きだ。
いい眠気覚ましにはなるのだが。
『うるせーこのバーコード頭!
相撲取りみたいな、体型しやがって!』
なんて事は当然言えず、心でささやき、小さな反抗。
ふとそこで…
「課長!!
彼も反省してるみたいだし、もういいじゃないですか!!」
あー…
この透き通る声。
さーさーきーさーん!
彼女は俺より1年早くこの会社に入った、事務のおねーさん。
いつも会社には、1番に出社。
仕事もテキパキこなし、社内での信頼はあつい。
そして俺が、ひそかに思いをよせる女性だ。
「それより課長!!
昨日の伝票計算まちがってましたよ!!
気を付けて下さい!!」
いつも助けてくれる、俺の美少女戦士。
また明日も遅刻して、佐々木さんに助けてもらっちゃおうかなぁ。
ムフムフ。
まぁいつもこんな感じで、俺の1日は始まる。
ただ…
あの日だけは違った。
最初のコメントを投稿しよう!