44人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋を出たシオンは、転移、とつぶやいて自分の部屋に移動した。
ローブを脱いでハンガーに掛ける。
シオン―…本名シオン=レグナードは銀髪で青い瞳を持つ、一言で言えば美しい少年である。
微笑みがとても似合うであろうシオンは、しかし限られた人にしか微笑むことは無い。
時計をみると午後11時55分。
シオンはシャワーを浴びようと準備をする。
左目から何かを――…青のカラーコンタクトを外す。
シオンの左目は、燃えるような紅だった。
紅い瞳があらわになると、シオンの目に悲しみの色が浮かんだ―…が、それも一瞬のことでさっさとシャワーを浴びる。
数分してシャワーを浴び終わると直ぐに着替えてベッドに入り、浅い眠りについた。
翌朝、シオンは何となく目が覚めた。
「(嫌な予感がする)」
時計を見てみると、午前6時ちょっと前。
仕事開始まであと1時間はある。
あと30分寝ていられるのだが、目が覚めてしまったので仕方なく仕事の準備を始める。
着替えなどを済ませ、朝食をとる。
ちなみに今日の朝食は、パンと海藻サラダとブルーベリーティー。
無言でパクパク食べていると、急に念話が入ってきた。
「《シオン、おはよう。起きているかい?》」
昨日の書類の山の声。
「《あぁ、おはよう。起きてる》」
シオンは何となく無視したい衝動に駆られたが、仕事だったら大変なので仕方なく答える。
「《そうか。じゃあ、すまないが早急にこっちに来てくれないか?》」
「《…了解した》」
そこで念話は途切れた。
急いで残りのブルーベリーティーを飲み干し、歯を磨いて昨日着ていたローブを身に纏い、転移で部屋のドアの前に来た。
.
最初のコメントを投稿しよう!