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『いやいや、間違いなくロボットじゃて』
「うっせえ! 痛みは感じるわ、泣くわ、笑うわでどこがロボットだってんだ!」
幸斗は再び祖父に電話を掛けていた、今度は通話のみではなくテレビ電話だ。
一目顔を見て祖父に文句が言いたかった訳で。
「仮にロボットだとしてだ、なんで幼い少女体系にしたんだ! どうせなら同世代か大人なヤツにしろってんだ!」
『なんじゃそういうのが趣味じゃったんか』
幸斗の憤慨はどうやら祖父には効かないらしい。まくしたてる幸斗の言葉を軽く聞き流し祖父はケタケタと笑っている。
「ちげぇよ! 友達に言い訳しにくいだろうがよ、妹にしたって顔が違いすぎるっての」
「マスターは私達のお兄ちゃん?」
「ん~、幸にぃで良いのかな?」
「違う!」
祖父との会話に割り込んできた椿と桜に軽くツッコミを入れて、携帯電話の向こうの祖父に向き直る。
しかし幸斗はその祖父の後ろにある物を見つける。
それは祖父の後ろにひっそりと佇むメイド姿の女性だった。
「爺さん、メイドさん雇ったのか?」
『ん? ああちゃうわい、ちゃうわい、ほれ、孫じゃ挨拶せい』
祖父は孫の問いに違うと言いながらも、後ろのメイドを呼んだ。
テレビ電話に映し出される清楚な顔立ち、黒い長髪、黒い瞳。
『はじめまして、幸斗様ですね、私は新型ガイノイド、スミレです以後お見知りおきを』
「あ、ああこちらこそ、はじめまして……って人間じゃないんか!」
『はい、私も博士に作られたガイノイドの4号機です、姉さん達が何かと迷惑掛けるかも知れませんが、どうか仲良くしてあげて下さい』
「え? 4号機? 姉さん?」
スミレと名乗ったどう見ても20代位の女性のその言葉に、幸斗は後ろのソファに座っている桜達に振り向く。
その様子に桜達は幸斗に笑顔を向けた。
「私1号機!」
「……2号機」
「3号機ですぅ」
桜、楓、椿の順にそう言った三人はどこか誇らしげだった。
「爺さんなぜ4号機だけ――」
『そりゃあ、儂用に作ったからのう』
不意に漏らした落胆の言葉だったが、どうやら携帯はその言葉を拾ったらしい。
祖父はそう言ってまた笑っていた。
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