25人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく落ち込んでいた幸斗だったが、桜には後ろから抱きつかれ、右腕に楓、左腕に椿。
それぞれにしがみつかれ励まされる始末。
祖父からはロボットだと言われても、ドアを直したところを見せられても、やはり幸斗には三人がどうしてもロボット等には見えなかった。
だからだろうか、不意に幸斗は微笑み桜達をなだめていった。
｢しかたねぇ、俺も男だ、頼むと言われたからには面倒見てやるよ｣
なかば照れ笑いにも見えたが、幸斗はそういうとキッチンへ足を運び、冷蔵庫を開けた。
その中から今日の３時のおやつにと買っておいたドーナツを取り出すと、ドーナツの入っている箱ごとリビングで待つ少女達の元へとそれを運んだ。
｢どういう仕組みかは知らんが、味は分かるんだろ？｣
｢私達は食べた物を体内のナノマシンで分解してエネルギーに変換します、博士はソレだけではつまらないだろうという理由で、私達に味覚を与えてくれました｣
ドーナツの箱を開きながら聞いた幸斗に、楓が答えた。
桜や椿は初めて見るドーナツという食料に興味深々といったように目を輝かせている、まあそれは楓にも言えた事なのだが。
｢データベースにはあったけど、コレがドーナツかあ｣
｢美味しそうですねぇ｣
そんな事を言いながらドーナツを見て目を輝かせる三人を見て、幸斗もどこか幸せそうだった。
｢ロボットと人間をより近くに、か。
分かってはいたけどやっぱり爺さんは天才なんだな｣
最初のコメントを投稿しよう！