訪問者-ある土曜日の事-

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『本日未明、都内のマンションの駐車場で中年男性が惨殺されており――』 「またか、俺も気をつけないとなぁ」 殺人事件が増加し始めたのはここ数年の出来事という訳ではない。 しかし昨今に至って、猟奇殺人じみた事件が東京都内で爆発的に増えているのは既に周知の事実だ。 しかも犯人は愚か手掛かりや凶器に至るまで一切不明ときている。 学者や評論家は様々な憶測をたてるが、それのどれもが的を射てるとは言い難いものだ。 朝食を頬張りそんなニュースを適当に聞き流す幸斗。 『次のニュースです――』 そんな幸斗の目に次のニュースが飛び込む。 それは祖父、七森隼人に関するニュースだった。 『昨日ロボット工学の権威、七森隼人博士は新型の女性型アンドロイド、いわゆるガイノイドの開発に成功した、と発表しました、これについて七森博士は従来の機械的な外見を排除、より人間が接しやすいよう開発に取り組んだと――』 こういうニュースを見る時、幸斗に2つの感情が生まれる。 一つは祖父に対する「流石は爺さんだな」という尊敬、もう一つは「このエロジジイ」という嫌悪感。 そんな妙な感情を抱いてニュースを見ていると、その新型ガイノイドとやらの映像が映し出された。
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