-弐拾淕【赤月唯】

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 偶像崇拝や仲介屋さんたちと話してから、三日後の事。  それは通学中に起こった。  僕の家から学校まで、歩いて約二十分かかるのだが、その間、ほとんど人に出くわすことはない。  うちの学校に通うのはほとんどが金持ちだ。  通学路は僕の住む下町とは逆方面の、高級住宅街の方になる。  それでなくともこの物騒なご時世、車通学なんてのが増えているわけで、僕みたいにとことこ歩いて通学するなんて子自体、少ないわけだ。  そんなわけで、僕は今日も一人、のんびり歩いて登校していたわけなんだけれど。 「おはようございます」  突然声をかけられて、困惑した。  白髪の、若い男性だった。小柄で僕とそんなに変わらない身長。  前髪は眉毛の下辺りで真っすぐに切り揃えられ、後ろ髪は外側に跳ねている。  何よりその、着物にジーンズという変わった格好が、印象的だった。 「…おはようございます」  僕は恐る恐る返事を返した。 「お尋ねしますが、この場所へ行くにはどちらヘ行ったらよろしいんやろか」  差し出されたメモには、僕の学校の名前と住所。
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