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-零【終わりは始まり】
好きな人の、話をしよう。
まずは偶像崇拝。
偶像崇拝は初恋の人だ。
頭が良くて美人で強い、憧れの人。
俺はそんな偶像崇拝が大好きだ。
次は夢遊病。
夢遊病は命の恩人で、俺にこの世界を知るきっかけをくれた人。
大切なものを失って苦しんでいたけれど、今は、前を向いて強く生きている。
優しくて不器用な夢遊病も、大好きだ。
けれど、誰より、世界で一番好きな人は、違う人だ。
強い神様にも、優しい先生にも、憧れはあったけれど。
俺が守りたいのは、強く儚い毒の華。己の運命を創り演じる影の主。
真っ白な髪に小柄な身体、凶器を纏いながらも、澄ました綺麗な顔。
その人は俺の『犬』だ。
筧一錠。
またの名を自作自演。
裏の世界で『人に非ず』と忌み嫌われた、影。
その人が、俺の運命。
俺の名前は、鏡裕、またの名を、『寓話作家』。
初恋の人と殺し合うのは、まだ先のお話。
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