白い国からの少女

4/5
前へ
/55ページ
次へ
 三十分程でボックスを組み立てて、四十分程車を走らせると大きな街にあるパスタ屋に着く。  駅も近い為に雑居ビルが立ち並び通りには様々な店が見える。 「ふぅ~ん、賑やかな街だね」 「県庁は隣街だけどね」  車を停めて店に向かう。通りに面したビルの一階だが、入り口が奥まった所の為に見落としがちである。  Pastasciutta.unoの小さな看板が表にあるのが唯一の目印だ。 「いらっしゃいませ」  扉を開けると奥からオーナーの声が聞こえてくる。 「はい、お先にどうぞ」 「ありがとう」  店員に案内されて席に着く。  メニューには色々な種類のパスタや肉料理、グラタンやサラダがある。 「お薦めは何かあるの?」 「どれも美味しいし、ケーキとシャーベットも絶品だよ♪」 「ケーキの美味しいのをニコニコしながら話してるのって女の子みたい」  などと話しをしているとオーナーがやって来る。 「イカスミをまた始めたので良かったら」 「じゃイカスミといつものを一つと…」  亜璃紗を見るとまだメニューと格闘していた。  やや間を於いてから亜璃紗も決まった。 「ベスビオのパスタを一つとバナナのタルトで」 「ではタルトは食後にお持ちしますね」  そう言うとオーナーは奥に入って調理に取り掛かる。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加