白い国からの少女

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 十分程すると両手に大きな皿に盛られたパスタを持ってきた。 「お待たせしました」  テーブルに置かれた皿からいい匂いが鼻腔を擽り食欲をそそる。 「さあ、冷めないうちに食べよう」 「量が多いよ、食べきらないよ?」 「残したら食べてあげるから。ケーキもあるしね」  今迄の事を色々と亜璃紗は話した。  学校での事や街の事、家族の事、それ以外にも沢山話しをした。  結局、亜璃紗は半分を食べたところで根を上げた。 「やっぱり無理だよ~」  ナプキンで口を拭きながら苦しそうな顔をする。  そんな事を話していると―― 「はい、食後のデザートです」  スッ―と出された皿にはバナナのタルトに小さな器には洋梨のシャーベットが盛られていた。 「わあ~美味しそう♪」  さっき迄の苦しいと言っていたのは何処に行ったのやら。まるで何も無かった様にケーキを食べ始める。  普通の十一歳の女の子らしい子供っぽい顔で最後の一口を食べ終わると―― 「ごちそうさまでした」 「美味しかったかい?」  聞かれた亜璃紗は満足気な笑顔で大きく頷いた。 「じゃあ、そろそろ行こうか?」  会計を済まし、店を後にした。
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