僕とガッコと

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僕は高橋淑成 たかはしよしなりという 高校1年生だ 入学して2ヵ月になる 僕のクラスは三組 学年では一番騒がしい 賑やかなクラス そのかわり、クラスの成績と先生からの評価はイマイチだが 「はよー」 教室に入った瞬間、すぐ隣で朝のあいさつが聞こえた 「あ…はよ」 僕があいさつを返すと、元気なくねー?、と苦笑いされた それに僕は適当な苦笑いを返すと、僕の席へ移動した 「はよー。淑成」 背後からまたあいさつが飛んだ さっきの人よりちょっと砕けたかんじで僕に話かけるこの人は 中島柚木 なかじまゆうき、だ 僕の友達第1号 「ん。はよ」 カバンから勉強道具を出しつつ 僕は答えた 柚木は席から身を乗り出して、僕に尋ねる 「なぁ!昨日言ってたマンガ!もってきた!?」 「…あ!っゴメン忘れたっ…」 「なんてことお!!くっそぉ、明日もってこいよぉ?約束ー」 「悪いね。ちゃんと明日…」 作業を終えて、ずっと下を向いていた顔に 苦笑を乗せて上向くと 柚木は少し遠くで僕の知らない友達としゃべっていた なんだか まわりにさっきから響く笑い声が すべて僕に向けられている気がした 僕は柚木の後を追い、一緒にお喋りに興じるか 一人で今日の予習をするか迷い 暫くうろうろして 結局自分の席につきノートを開いた ふと 何の気無しに後ろを向いて 柚木と目があってしまった とたん なんだか自分の行動が 柚木が他の、自分の知らない友達としゃべるのが気にくわない そんなことを表している気がして 僕はとっさに目を大きく逸らした そして直後、僕を襲う自己嫌悪 …しまった、わざとらしすぎたかも そうやって、ちょっと自分がイヤになったところで冷静になり 『何やってんだ。誰も僕のことなんか気にしてない。気づいてない。笑ってない…』 そう、心で唱えた いつものように そんな自分が またイヤになった いつものように
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